日本全国に数多く点在する神社の中でも、歴史や格式、壮大な景観で人々を魅了する五大神社。それぞれの神社には独自の伝統行事があり、訪れるたびに新たな感動と発見があります。
本記事では、これらの神社で執り行われる年間行事を通じて、日本文化の深淵に触れる旅へご案内します。初詣から季節ごとの祭典まで、訪問計画に役立つ情報を詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお楽しみください。
明治神宮
東京都渋谷区にある明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后を御祭神として祀っている神社です。
毎年初詣では日本一の参拝者数を誇ることでも有名ですが、都会の中心でありながら広大な森に囲まれているのが特徴で、普段は静寂の中で参拝ができます。
明治神宮では、年間を通して多くの祭典があるだけではなく、毎月1日と15日には「月次祭(つきなみさい)」が斎行されます。さらに、毎日「御日供祭(おにっくさい)」が行われます。
ここでは、明治神宮の主な祭典の中から、とくに注目したいものをピックアップして紹介します。
参考:https://www.meijijingu.or.jp/event/
歳旦祭
元旦の早朝に行われる祭儀です。皇室の弥栄と国家の隆昌を祈り、新しい1年への誓いを立てる祭典となっています。
先にも紹介しましたが、明治神宮は日本一初詣の参拝者数が多い神社としても知られており、大晦日(除夜祭)の夜から三が日を通して多くの人々で賑わいます。
鎮座記念祭・例祭(秋の大祭)
11月1日の鎮座記念祭は、その名の通り明治神宮が鎮座した日を記念する祭典です。続く11月3日の例祭は、明治天皇の生誕日にあたります。
11月1日からの3日間は明治神宮では「秋の大祭」とも呼ばれており、様々な伝統芸能が奉納されます。
熱田神宮
愛知県名古屋市にある熱田神宮は、熱田大神(草薙神剣を御霊代とする天照大神)を主祭神とし、天照大神、素盞嗚尊、日本武尊、宮簀媛命、建稲種命を相殿神として祀っています。
三種の神器のうちのひとつである草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る神社として、格式高い神社とも知られており、高い崇敬を集めながらも、人々からは「熱田さま」「宮」と呼ばれ親しまれています。
今回は、熱田神宮の主な祭典・神事の中から特に注目したいものをピックアップして紹介します。
参考:https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/about/event.html
初えびす
毎年1月5日に行われる祭典で、商売繁盛と家内安全、そして漁業豊漁を祈ります。宮簀媛命の父親にあたる平止興命を祀る「上知我麻神社」と、その境内にある「大国主社」「事代主社」にて執り行われます。
午前0時という真夜中の祭典にもかかわらず、商売繁盛を願う参拝者たちで賑わいます。とくに、初えびすで授与される「一番札」は人気があり、「あきないえびす(商売人)」「はたらきえびす(お勤めの人)」「とりえびす(漁業の人)」と「生涯現役 ちからえびす」を我先に受けようと多くの人が集います。
熱田まつり(例祭)
熱田神宮の祭典の中で最も重要かつ荘厳な祭典である熱田まつりは、毎年6月5日に行われます。
祭典そのものの荘厳さはさることながら、祭典後には献灯まきわらの点灯や神宮公園での花火大会などもあり、夏の到来を告げる重要な祭りとして町全体をあげて親しまれています。
地元の人々はこのお祭りから浴衣を着るという習わしがあり、涼し気な装いで露店を覗く姿も多く見られます。
伏見稲荷大社
伏見稲荷大社にある伏見稲荷大社は、稲荷大神(宇迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神、四大神の五柱は稲荷大神の神徳を神名化したものとされる)を御祭神として祀っている神社で、全国に約3万ほどある「稲荷神社」の総本社です。
稲荷大神は商売繁盛や農業の神として信仰されており、企業や個人から多くの参拝者が訪れます。また、訪れる人々を神秘的な世界へ誘う「千本鳥居」の圧巻の風景も有名です。
参考:https://inari.jp/rite/?month=1%E6%9C%88
節分祭
伏見稲荷大社の節分祭は、2月の節分の日に執り行われます。節分は文字の通り「季節を分ける」という意味がありますが、年に4度ある季節の分け目の中でも「春」は一年の始まりとして大切にされているものです。
除疫・招福が祈願され、祭典の終了後に外拝殿で、福男・福女、それから鮮やかな着物を着た福娘による豆まきが行われることも特徴のひとつです。
火焚祭
毎年11月8日に行われる祭典です。五穀の豊饒をはじめとした稲荷大神のご神恩に感謝する祭典で、伏見稲荷大社の伝統行事として古くから大切にされてきました。
本殿で祭典を行ったあと、神苑祭場にて全国の崇敬者から奉納された火焚串を焚きあげます。その数は十数万本にものぼります。参列者一同が大祓詞を奉唱し、罪障消滅と万福招来を祈ります。
厳島神社
広島県にある厳島神社は、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命を御祭神として祀っている神社です。
平安時代の建築様式を受け継ぎ、海上に建つ朱塗りの社殿と鳥居が特徴的です。潮の満ち引きによって、鳥居が海に浮かんでいるように見える景色は、日本を代表する美しい風景です。
厳島神社では、年間を通して毎月1日に月旦祭(元日は歳旦祭)、17日に月次祭が執り行われます(ただし、3月17日は祈年祭、6月17日は例祭、10月17日は神嘗奉祝祭)。
参考:https://www.itsukushimajinja.jp/jp/event.html
七浦神社祭
毎年3月初旬と9月初旬に行われる祭典です。宮島は昔から島自体が神聖視されています。「安芸の宮島まはれば七里、浦は七浦七恵比須」という言葉があり、七浦七恵比須、つまり7つの浦にはそれぞれに神様を祀っています。
七浦神社祭および御島廻式は、これらの浦に祀られている神様を参拝する儀式です。
御鎮座祭
推古天皇御即位元年の11月初申の日、御社殿が初めてできたことに由来して執り行われる祭典です。
元々11月としていましたが、新暦に合わせたため現在は12月に行われています。また、「初申の日」のため日にちも年によって変わります。
出雲大社
出雲大社は、大国主大神を御祭神として祀っている神社です。創建については日本神話などで伝承が残されており、いずれも天津神(天照大御神)の命によって国津神である「大国主神」の宮が建てられた、ということが共通しています。
大国主神(おおくにぬし)は「だいこくさま」と呼ばれ親しまれている神です。「いなばのしろうさぎ」の話を聞いた事のある方もいるでしょう。
参考:https://izumooyashiro.or.jp/saiten-gyouzi/saitens
凉殿祭
毎年6月1日、月始祭に続いて行われる凉殿祭。境内の「出雲の森」に祀られている椋の大木の前に祭場が設けられ、黙祷祈念を行います。
「真菰の神事」とも呼ばれるこの祭典では、参列者たちは神職によって白砂の上に敷かれた真菰をもらい受けることができます。もらい受けた真菰をお風呂に入れると無病息災、田畑に植えれば五穀豊穣のお陰があると言われています。
神在祭
旧暦の10月10日から17日まで、全国八百万の神々が出雲大社の大国主大神のもとに集まるとされる、出雲大社最大の神事です。旧暦10月10日に神々をお迎えする「神迎祭(かみむかえさい)」が行われ、旧暦10月11日から17日までが「神在祭」となります。
全国から集まった神々は、この期間に男女の縁結びや来年の収穫などの神事(かみごと、人には予め知ることができないようなこと)について「神議り」が行われるのです。
まとめ
五大神社はそれぞれが日本の歴史や文化、信仰に深く根差し、年間を通じて多彩な神事が執り行われています。
明治神宮は都会の中心にありながらも静謐な空間を提供し、特に鎮座記念祭や例祭では明治天皇への敬意が色濃く感じられます。熱田神宮は草薙剣を祀る神社として崇敬を集め、熱田まつりなど地域に密着した活気ある行事が印象的です。
伏見稲荷大社は千本鳥居の絶景に加え、商売繁盛や五穀豊穣を祈る行事が多く、全国から参拝者が訪れます。厳島神社は海上に浮かぶ朱塗りの建築美が見どころで、七浦神社祭など島全体を舞台にした儀式が行われます。
そして、出雲大社は神在祭をはじめとする神秘的な行事が目を引き、訪れる人々に縁結びや繁栄のご利益をもたらします。
これらの行事を通じて、日本の伝統文化の豊かさを再発見してください。
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